英語のリスニングをどれだけ勉強、訓練しても一言一句間違えずに聞き取れるようにならない!
そんな悩みを持つ方は多いのではないでしょうか。
私自身も TOEIC のリスニングパートで460点取りましたが、TOEIC の文章はともかく、ドラマなどの生の素材となると全く歯が立ちません。
では、ネイティブスピーカーが完璧にお互いの会話を聞き取っているのかと言うとそうではありません。
実際、普段の日本語での会話で少し意識してみると分かりますが、 私たちは相手の発言内容を言う前から推測していますし、部分的に聞き取れない箇所も前後から補うなどしています。
この記事ではシットコムのフレンズから学べる英語の聞き間違いを防ぐポイントとして下の4つを挙げます。
当然「視聴者は正しく理解する⇔キャストが聞き間違える」という状況を作って面白くしているので作られたミスですが(そもそも脚本ありますし)、 キャストが聞き間違いをしているシーンを6つ紹介し 、どういうメカニズムで聞き間違いが起こるのか理解することで逆にどうすれば正しく聞き取れるようになるか導きます。
なおフレンズを使った英語学習についてはこちらを参照してください。
omnipotent → I’m impotent
最初はこちら。omnipotent は全能という意味です。
Monica: Hey, Joey, what would you do if you were omnipotent?
Joey: Probably kill myself!
Monica: ..Excuse me?
Joey: Hey, if Little Joey’s dead, then I got no reason to live!
Ross: Joey, uh- OMnipotent.
Joey: You are? Ross, I’m sorry..
FRIENDS “The One with George Stephanopoulos” (C) Warner Bros. Entertainment. All Rights Reserved.
全能ならどうする?という質問に生きてられないと答える Joey。Ross がゆっくり(その結果紛らわしく)”omnipotent” と言ったのを Ross が “I’m impotent.” と言ったものと Joey が勘違いしているシーンです。
なぜそう勘違いしているか分かるかというと、”You are?” という返し(”I’m ~”と言ったと捉えたと分かる)と、”if little Joey’s dead,” というフレーズからです。日本語でも息子と表現されますよね。
ここではそもそも Joey は omnipotent という単語を知らなかったと思われます。(Joey の語彙が少ないことを表すシーンが時々登場します。)
つまり、当たり前ですが、知らない単語は聞き取れ無いということです。
実際には使われる頻度が高くないのか、omnipotent は掲載ありませんでしたが、語彙の強化には「DUO3.0」をどうぞ。
accept that → except that
続いてこちら。
一緒になりたい Ross に対し、それを断る Rachel という構図のシーンです。
RACHEL: NO but Ross. We are never gonna happen, OK. Accept that.
ROSS: E-except, except that what?
RACHEL: No, no, accept that.
ROSS: Oh.
FRIENDS “The One with the Prom Video” (C) Warner Bros. Entertainment. All Rights Reserved.
「私たちには何も起こらないわ。受け入れてよ。」と Rachel が言うのに対し Ross が accept (受けいれる)を except (~を除いて)と聞き違えています。何かが起こるための条件を言われたと思ったのですね。
表情的に、わざと聞き違えたふりをしているようにも見えますが、そのあとの Rachel の言い直しを受けて Ross は落ち込んでいて、本当に勘違いしていたと分かります。
Ross は2人の関係が進展する話を期待していたのでそのように聞き違えたと理解できます。
英語のリスニングというと、「話された文章を聞き取り、意味を理解する」という頭の処理になりがちですが、一番最初に書いたように、会話をしている状況では相手が話す内容を先立って推測している、期待しているということです。
lose her → loser
3つ目です。Chandler が分かれた彼女とどうすればもう一度戻れるかという話を Monica 、Rachel としているシーンです。
Chandler: So I’m not gonna lose her?
Rachel: Oh, honey, you’re not a total loser.
FRIENDS “The One with The Metaphorical Tunnel” (C) Warner Bros. Entertainment. All Rights Reserved.
Chandler が彼女を失わなくて済む?と聞いているのに、 Rachel が “loose her” を “loser” と聞き違えてたために、あなたは負け犬じゃないわと返すためおかしな空気になります。
聞き間違えのポイントとしては、her や him の h の音はよく脱落(弱化)しますので、発音としては同一になっていることです。少し違うかもしれませんが、同音異義語といえばイメージが湧くでしょうか。
一方、文法的には次の文で are に続いていることからもわかるように、”going to be a” でなくてはならないので気を付けていれば “gonna” の後が一般動詞と分かるはずです。
次はbe動詞かな一般動詞かななどと考えながらセリフを聞くことはできないので、多読や多視聴の積み重ねで自然に頭がついていく状態になることが望ましいです。
とはいえ、さすがにネイティブでもこのシーンを見ても文法的なことには触れず、単に ”lose her” を “loser” と聞き違えたなとしか考えないと思いますが。
lookie → cookie
4つ目は Monica の聞き違いです。セリフはこちら。
Joey: Snow-in-a-can!! I got it at work.
Mon, you want me to decorate the window, give it a kind of Christmas looky.Monica: Christmas cookie?
FRIENDS “The One Where Rachel Quits” (C) Warner Bros. Entertainment. All Rights Reserved.
仕事場でスノースプレーをもらってきたから窓を飾り付けていいか?という Joey の質問の lookie を cookie と聞き違えるというシーンです。
クリスマスクッキー(かつて太っていた Monica が太るきっかけ。 ガールスカウトが売って回る。)をずっと避けていたが Ross から数箱買ってしまったことをきっかけに中毒になりかけている状態というのが背景です。
今の Monica の頭の中は Christmas と来たら cookie しか浮かんでこないので聞き違えたというところです。
私たちの場合でも「クリスマス~」と言えば「ツリー」「ソング」「シーズン」「ケーキ」あたりが真っ先に浮かぶと思いますのでそれと似たことを言われたと想像すればイメージしやすいと思います。
“Christmas looky” について解説しておきます。
これはクリスマスぽい見た目という意味の “Christmas look” を形容詞的に y で終わらせたと考えています。(あえて日本語にするなら「クリスマスっぽい見た目な感じ」くらいなものでしょうか。)
google で検索にかけると “Christmas look” が388万件ヒットするのに対し、”Christmas looky” ですと8,800件のみなので聞き間違いを起こさせるための作られたセリフだなと想像されます。
unisex → you need sex
5つ目、6つ目は同じシーンからです。音は違うのですが、1つの単語に対して2つの聞き間違いをしているという点でも面白いです。
Joey がオーディションを受けるための服を Rachel に見立ててもらっている場面です。
Joey: But it is odd how a women’s purse looks good on me, a man.
Rachel: Exactly! Unisex!
Joey: Maybe you need sex. I had sex a couple days ago.
FRIENDS “The One with Joey’s Bag” (C) Warner Bros. Entertainment. All Rights Reserved.
「女性もののバッグが男の自分に似合うなんておかしいな」「そうよ、ユニセックスだもの」という掛け合いの次です。”uni-“の部分を次に自身が言っているように Joey が “you need” と聞き違えます。
文脈を考えると意味不明ですが、単に Joey が unisex という単語を知らなかったという理解でいいと思います。最初の omnipotent と同じですね。
“u-n-i” sex → you and I sex
先ほどのセリフにすぐ続くやり取りです。
Rachel: No, no, Joey. “U-N-I” sex.
Joey: Well, I ain’t gonna say “no” to that.
FRIENDS “The One with Joey’s Bag” (C) Warner Bros. Entertainment. All Rights Reserved.
「ユ・ニ・セックスよ」と訂正しようとして、綴りに沿って “u-n-i” と言っていますが、これを Joey が ” you ‘n I” と聞き違えます。これも音としてはまさに同じになってしまっています。
“‘n” は and が省略された形です。ロックンロールのンがまさにそれです。
返しの Joey のセリフは「それならNOとは言えないなー」くらいな意味です。
ain’t はこちら(外部サイト)を参考にしてください。
先ほどの “you need sex.” という理解も意味不明ですが、重ねて”you and I sex” という理解もますます理解不能です。Joey の頭の中がそういう世界で満たされているということだと思います。
おわりに
聞き違いが起こる原因をまとめます。
- その単語を知らない
- 相手が話す内容を誤って推測、期待している
- 同音異義語
- 偏った世界を生きている
これらを受けて、どうすれば聞き間違いを防げるか考えてみますと、
という形になります。
双方向のコミュニケーションでは分からなければ聞けばいいですし、自身が気付かなくても(必要なら)相手が訂正してくれるはずですので、そのやりとりができるということが重要かもしれません。
ただ、講義や演説、テレビや映画の視聴、あるいは 試験という場面を考えると細部を聞き取れないことが気になりますし、そこにこだわることも必要ですので、この記事を読んだ方のこれからの学習で上で書いたポイントが少しでも役立てば幸いです。
おわり
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