英語を学んでいる中でよく生じる疑問、困りごとの1つ
「日本語だと”行く”を使う場面で英語だと”come”になるのが理解できない」
を解消するヒントを紹介します。
たとえば、自室にいて母親においでと呼ばれて、「今行くよ!」という場面。日本語だと書いたまんまですが、「行く」を使うのに対し、英語では”I’m coming!” と言うということはどこかで習ったことがあると思います。
違う言語ですしそういうものだと思って、使っているうちに身についてくるという向きもありますが、可能であれば納得して理解したいもの。この記事は、日本語と英語の違いを紹介しているある書籍を読んでいるときに「これってcomeを使うことの理解につながるかもしれない」という私自身の気付きの紹介です。
日本語と英語の視点の置き方の違い
go と come の使い分けの説明の前に、その前提となる日本語と英語の視点の置き方の違いを説明します。
英語での go と come の使い分けが、英語話者が頭の中にどういうイメージを浮かべて話をしているかに深く関係するからです。
内容は「英会話イメージリンク習得法」からの引用となります。
まずは日本語の視点について。
話 の 内容 によって 場 に 入り込ん で しまう 日本語 は「 一人称 ゲーム」 に たとえる こと が でき ます。
遠藤 雅義; Victoria Bloyer. 英会話イメージリンク習得法―英会話教室に行く前に身につけておきたいネイティブ発想 . Eikaiwa Express.
(中略)
一人称 ゲーム の 特徴 は、 プレイヤー 自身 の 姿 は 画面 上 には 現れ ない という こと です。 画面 に 現れる 世界 は 全て プレイヤー が 見 て いる もの で、 その 意味 で プレイヤー は 画面 に 入り込ん で い ます。
続いて英語の視点について。日本語と異なります。
日本語 が「 一人称 ゲーム」 なら ば、 英語 は「 インベーダーゲーム」 です。
遠藤 雅義; Victoria Bloyer. 英会話イメージリンク習得法―英会話教室に行く前に身につけておきたいネイティブ発想 . Eikaiwa Express.
(中略)
インベーダーゲーム の 特徴 は、 プレイヤー を 表す 自 機 が 画面 上 に 表示 さ れ て いる こと です。
まとめまると、
- 日本語は画面に自分が登場しない
- 英語は画面に自分が登場する
2人の会話でのイメージ
上の説明だけですとわかりづらいので、2人で会話しているシーンで、頭の中に浮かべるイメージを整理します。
(以降ではゲームの代わりにテレビ画面にします。)
日本語では自身は画面に登場しませんので、画面には相手だけがいる状態です。
一方で、英語は自分も画面に登場しますので、画面には相手と自分がいます。
日本語の行く/来る、英語の go/come の違い
話が遠ざかってしまいましたが、ここから本題の日本語の行く/来る、英語の go/come の違いに入ります。
ここでは、使い分けを感覚でつかむための説明をします。
辞書上の語義とは異なる可能性がある点はご理解ください。
日本語では、スタートがどこであれ、離れていくものを「行く」、近づくものを「来る」と言います(よね?)。
一方英語では、先ほど説明した頭の中の画面を基準にして、目的地が画面の外の場合は go を、画面の中の場合は come を使います。
一枚の絵で整理します。
自分と相手のお互いの行き来(「君のところにいくよ」「ぼくのところに来てよ」)、第三者のもとへ行くこと(「おばあちゃんちへ行くんだ」)、第三者が来ること(「おばあちゃんが来るんだ」)について相手と話をしているような場面と思ってください。
日本語では、移動するもの(主語)が離れるのか近づくのかで行く/来るを使い分けていて、英語では目的地が頭の中の画面の中にあるかどうかで go/come を使い分けいます。
行く・go を緑の矢印で、来る・come をオレンジの矢印で表していますが、1か所だけ日本語と英語で対応する矢印の色が違いますよね?
行く → go 、来る → come と理解していると、ほとんどの場合は問題ないのに、自分が相手のもとへ行くことを “I’m coming.”ということに混乱するのはこういうわけなのです。
実際の使われ方をイメージに当てはめてみる
具体例&ネイティブスピーカーによる解説
下のYouTube動画はネイティブスピーカーがgoとcomeの使い分けを解説しています。
(本記事で説明しいてる内容とは直接関係ありません)
SNATCHという映画の1つのシーンの中で、同じ場所への移動をgoとcomeで表現しているシーンを題材にしています。
ここでも同じ文を題材として扱いたいので冒頭の10秒だけでいいので動画を見てから読み進めてください。
これをさきほどのイメージで書いてみる
引用されているシーンに登場する2つの「Londonに行く」を先ほどのイメージで書いてみます。
We’re going to London.
1つ目は “We’re goingn to London.” です。
発言の聞き手は話し手のすぐ隣にいます。
このとき、話し手の頭の中に浮かんでいるであろうイメージは下の絵の通りです。
テレビの中に話し手(自分)と聞き手がいて、行き先と言っているLondonはこの画面の外の場所です。
画面の外にある場所に行くということを言っているのでここでは go が使われます。
ここでgo を選択することは特に不自然に感じないと思います。
I’m coming to London.
続いて “I’m coming to London.” です。
イメージは下の絵の通りです。
聞き手が物理的には話し手の目の前にいませんが、頭の中のイメージでは1つの画面の中に収めている点が少し難しいかもしれませんが、ここがミソです。
このとき、目的地の London は話し手がいる場所なので、こちらも画面の中に含まれています。
画面の中の移動ということになりますので、日本語では同じ「London に行く」に対してこちらでは come が使われるのです。
おわりに
この記事では、日本語で「行く」というのに英語では”come”という場面を直観的に理解するためのイメージを、日本語と英語での話し手が頭の中に描くイメージの違いとともに説明しました。
今はふーん、と思っている程度かも知れませんが、今日からしばらく go や come に出会う度にこのテレビに話し手と聞き手を登場させるイメージの確認をしてもらえば使い分けがしっくりくると期待します。
大事なので繰り返します。
この記事の内容は私の理解なので、ヒントにして自分なりのイメージを頭の中で浮かべる訓練を繰り返して定着をさせてください。
おわり
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