アメリカでは、ヤードポンド法(リンク先はwikipedia)に基づき日本とは異なる単位が使われているものがあります。
具体的には重さのオンス、ポンドなど、長さのインチ、フィート、マイルなど、そして今回話題にしたい温度の華氏℉。
日系メーカー勤めということもあり仕事の上ではあまり問題になることはないと思っていますが、日常では慣れなくてはいけないのだろうと想像していますので簡単な計算方法をまとめておきます。
アメリカで使われている華氏℉から馴染みの摂氏℃への簡単な計算式はネットで調べると出てくるのですが、簡単化したことの限界(誤差)についてしっかり述べているサイトがなかったのでここでまとめます。
正確な計算式
それぞれの温度の定義の仕方や、成り立ちの説明は他のサイトに譲って本題に入っていきます。
まずは、華氏→摂氏と摂氏→華氏の正確な計算式を見ていきます。
華氏→摂氏
華氏を(℉)、摂氏を(℃)とする場合、華氏は
で計算できます。
言葉で書くと「華氏の温度(℉)から32を引いて、(5/9)を掛ける」です。
とてもじゃありませんが、瞬間的には計算できません。
摂氏→華氏
摂氏→華氏の計算は先ほどの式を逆にすればよく、
で計算できます。
言葉で書くと「摂氏の温度(℃)に(9/5)を掛けて、32を足す」です。
とてもじゃ(後略)。
簡単化した計算式
華氏→摂氏の簡単化
アメリカの日常で使われる温度は華氏℉なので、これを日本人が感覚で理解できるように摂氏℃に置き換える必要があります。
こちらについては、いくつかのサイト(例えばこちら)でこのような式が紹介されています。
(記号の定義は本サイトによる)
言葉で書くと「30を引いて、2で割る」で、これなら何とかやれそうです。
簡単化した場合の誤差(華氏→摂氏)
上の式が最初に書いた正確な計算式に対してどれだけ誤差があるか確認しておきます。
となります。
グラフで視覚的に見えるようにしてみます。
青線が最初に紹介した正確な式で計算した結果、赤線がここで紹介した簡単な計算式で計算した結果、緑線がそれらの差です。
誤差は50℉(10℃)でゼロになり、そこから離れるほど拡大する形になっています。
何を対象にするかによりますが、0~100℉(約-20~40℃)では±3℃に誤差が収まるので日常生活(例えば天気予報)に出てくる数字程度ならこれで大外れはしなさそうということが分かります。
摂氏→華氏の簡単化
先ほどの簡単化した華氏→摂氏の計算式を単純に逆にしてみると、
となります。
簡単化した場合の誤差(摂氏→華氏)
華氏→摂氏の場合と同様に誤差を計算すると、
となります。
同様にグラフ化します。
誤差は10℃(50℉)で ゼロになり、そこから離れるほど拡大する形になります。
式をひっくり返しただけなので当たり前なのですが、0~100℉(約-20~40℃)の範囲で±6℉※の範囲に収まります。
※少しわかりづらいので補足します。摂氏と華氏とで1度の尺が違う(1℃の変化は9/5℉の変化に相当する)ので、華氏→摂氏の簡単化した計算式の段で許容した±3℃(2.8℃)の誤差が±6℉にずばり対応しています。
簡単化した計算式を考察する
上で紹介した華氏→摂氏の簡単化した計算式について少し考えてみます。
「30を引いて、2で割る」 の30は正確な計算式の32を10の桁に丸めたものですが、これが誤差がゼロになる10℃という数字を決めています。
どういうことかと言うと、最初の簡単化した式の30をと一般化して、
とした場合、誤差がゼロになる温度(℃)は、
となります(途中計算省略)。当然 の時、 です。
ですので、例えばやはり体温付近で誤差が小さくなるようにしたいとして、 となるように、 と決めることができます。
元々の簡単化した式と並べてグラフにしてみます。
誤差±3℃の範囲が-20~40℃から5℃~65℃にシフトします。
このように、計算の簡易さは多少失われるかもしれませんが、 誤差が小さくなる範囲は自由に決めることができるので必要に応じて計算式を変えてみるといいかもしれません。
おわりに
私は自分で検討してみた結果として 「華氏℉から30を引いて、2で割って摂氏℃にする」 が簡単で一番と思っています!
摂氏→華氏の計算式についても同様(上記の簡単化した計算式で日常はおおよそ事足りる)なので、省略します。
最後にこの記事で紹介した計算式をまとめます。
おわり
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