フレンズ FRIENDS で学ぶ英語の助言

フレンズ

日常会話や仕事で英語を使っていると「~をした方がいいよ」と言いたい場面が数多くあります。

一口に「した方がいい」と言っても、「義務だからした方がいい(しなければならない)」といった強い意味合いのものから、何かをしようとしている人に対して別案や可能性を示す程度の弱い意味合いのものまであります。

また、最初は学校で習った通り should を使っていても「同じ言い回しは避けたいな」とか「had better って表現をセットで習ったのを覚えているぞ」と言って “You had better ~.” というと危険です。

この記事では、まず助言の強さによる分類を提示し、続いてシットコムのフレンズから実例を紹介して内容の理解のサポートとします。

助言のレベル

まず助言のレベルについて整理します。

このセクションの内容は Stewart Dallas 「Funny English 1-2-3: Funny Mistakes Japanese Make in English」に基づいています。また下の表は同書籍からの引用です。

Level of Advice Language Negative (using “not”)
Very Strong (for explaining rules, laws, doctor advice, etc.; there is no choice but to do the action)have to
need to
must
have got to
must not
can’t
Strong (for warning of severe consequences)had better
better
had better not
better not
Medium (good for the person, will help the person, recommendations, social and business etiquette)should
ought to
recommend
should not
recommend not
Weak (to list possibilities, suggestions, and options; more polite, softer advice)might want to
could
suggest
might not want to
suggest not

一番強いものは助言というよりも指示と言った方がいいかもしれませんが、ルールや法律によって決まっていて「~した方がいい(しなくてはならない)」というものです。

その次が強い助言です。警告と言い換えられるものです。例えば「自転車に乗るときはヘルメットをかぶった方がいいよ(そうでないとケガするよ)」だとか「(上司が部下に向かって)次はもっといい成果を上げた方がいいぞ(そうでないと首にするぞ)」というレベルのものです。

そして通常の助言やオススメ。「髪を切った方がいいよ(その方が素敵に見えるよ)」という程度のものです。

最後に、自分の助言に自信が無い場合や気分を害さないよう配慮(控えめな依頼)する場合の言い回しです。

英語でも日本語でも変わらない内容なので理解自体は難しくないと思います。

日本語で話しているときは、無意識にやっていることですが、自分が「~した方がいいよ」と言いたいなと思ったときにそれがどういったレベルのものなのか考えた方がいいということです。

フレンズ FRIENDS での実用例

次に上で分類した助言の各種類についてシットコムのフレンズから実用例を紹介していきます。

とても強い助言(指示)

はじめに、とても強い助言(指示)です。

上で述べたよう、ルールだからそうしなくてはいけないというときに使います。

フレンズでは次のような使用例があります。

you must have ~

空港で Rachel (画面手前)が「航空券を失くしたけど、座席番号を覚えているから」と言ってなんとか通してもらおうとしている場面で、ゲートの係の人(画面奥)のセリフが対象の表現です。

FRIENDS “the Last One” (C) Warner Bros. Entertainment. All Rights Reserved.

Madame, you must have your boarding pass.

FRIENDS “the Last One” (C) Warner Bros. Entertainment. All Rights Reserved.

これは明らかに助言ではありません。

ゲートの通過に航空券が要るというルール(決まり)に基づいて、「こうしてください」と言うときに使われることが分かります。

強い助言(警告)

続いて強い助言(警告)です。

「○○した方がいいよ、そうしないと~」の後半部分が暗にあることを意識してみると使う必然性が分かりやすいと思います。

2つ例を取り上げます。

you’d better act ~

FRIENDS “the One with the Blackout” (C) Warner Bros. Entertainment. All Rights Reserved.

Ross (画面奥左)が Rachel (画面奥右)を口説こうとしているところへ妹である Monica (画面手前左)が近づくのを Joey (画面手前右)が防いでいる場面です。

話に入っていかないようにするために Ross が内緒で Monica の誕生日パーティーを計画していると嘘をついて、それに続いてのセリフです。

字幕にはありませんし、実際に音としても(私には)聞こえませんので had は省略されているという理解で差し支えないと思います。

頻度までは分かりませんでしたが口語ではよくあることのようです。

You(‘d) better act surprised.

FRIENDS “the One with the Blackout” (C) Warner Bros. Entertainment. All Rights Reserved.

「そうしないと~」の部分には、自分のパーティーを台無しにしてしまうぞというようなことが来ますよね。

ドラマ的には Joey の絶対にジャマさせないという熱が込められているというような理解もできるかもしれません。

you had better go

FRIENDS “the One with the Engagement Picture” (C) Warner Bros. Entertainment. All Rights Reserved.

Ross (画面左)が Phoebe (画面右)の彼氏の前妻が訪ねてくるため今すぐにでも帰ってもらいたいと思っている場面です。

All right, I’m sorry, but you‘d better go, Pheebs.

FRIENDS “the One with the Engagement Picture” (C) Warner Bros. Entertainment. All Rights Reserved.

「そうしないと~」の部分には、本来助言(警告)を受けた人の不都合が来るべきですが、ここでは困るのは発言者の Ross です。

詳しい説明抜きに警告として述べることで さっさと帰ってもらおうという魂胆が透けているところにコメディ的な面白さがあります。

通常の助言

頻度(使われる回数)としては一番多い通常の助言。should と ought to について見ていきます。

you should be with a guy ~

彼氏と別れた Rachel (画面奥)を Ross (画面手前)が慰めている場面です。

FRIENDS “the One with the Dozen Lasagnas (C) Warner Bros. Entertainment. All Rights Reserved.

You deserve so much better than him…you know,
I mean, you should be with a guy who knows what he has when he has you.

FRIENDS “the One with the Dozen Lasagnas” (C) Warner Bros. Entertainment. All Rights Reserved.

「あんなやつとでなく、君といる価値を分かるやつ(実は自分のことを意味している)と一緒にいなよ」というセリフです。

指示でも警告でもないというのはいいですよね。

暗に自分の方を向くようにけしかけていて(ある行動を促そうとしている)、助言のレベル感をつかむのに良い例かと思います。

I think you should keep looking

Ross (画面中央)が逃走した花嫁を捜索中。その新婚のスイートルームで事をしようとしている Chandler (画面手前)と Monica (画面奥)とのやり取りです。

FRIENDS “the One after Ross Says Rachel” (C) Warner Bros. Entertainment. All Rights Reserved.

Monica: You didn’t find her?

Ross: No, I’ve looked everywhere!

Chandler: Well, you couldn’t have looked everywhere or else you would’ve found her!

Monica: Yeah, I think you should keep looking!

Chandler: Yeah, for about 30 minutes.

Monica: Or 45.

Chandler: Wow, in 45 minutes you can find her twice.

FRIENDS “the One after Ross Says Rachel” (C) Warner Bros. Entertainment. All Rights Reserved.

背景が理解しやすいので前後のセリフも載せます。

「花嫁を見つけられない」と言う Ross に対し、部屋を使いたい Monica と Chandler が「探してきなよ」と促します。助言ですよね。

ここで “I think” について補足します。

「~しなよ」と言いつつ「~と思うよ」と付加する文章になっていて意味合いとしては少し遠回し感を出しています。

つまり、助言ではあるものの少し控えめな言い方です。次に続く「弱い助言」との間くらいなイメージでいいと思います。

割合としては(フレンズでは) “you should” の文章に対して10%強が ”I think you should” の形で使われています。

多用される表現ではないですが、不自然ではないという理解はしておきたいです。

一方、ドラマの場面にこれを当てはめると、実は逆で本音ではさっさと出て行ってほしいと思っている気持ちが前面に出過ぎないようあえてこういった回りくどい表現を使っているという点に注意が必要です。(動画であればトーンですぐわかりますが)

you and I ought to know

should の言い換えである ought to の使用例を紹介します。

Phoebe と新しい彼氏(ともに画面外)の付き合いが1か月を超えたと聞いて、Joey がそれならと返す場面です。

FRIENDS “the One with Chandler’s Dad” (C) Warner Bros. Entertainment. All Rights Reserved.

Joey: So! You and Phoebe huh? How long have you been going out?

Man: Over a month.

Joey: Wow! Maybe uh, maybe you and I ought to get to know each other a little better.

Man: Sure, I’d like that.

Joey: So uh, what’s your name?

FRIENDS “the One with Chandler’s Dad” (C) Warner Bros. Entertainment. All Rights Reserved.

「おれたちもっとお互いのことを知らなきゃな」とやはり行動を促す場面で使っていて、should と同程度の強さと理解できます。

ただし、話し言葉としては should の方が好まれ、また should に対してフォーマルです。

実際、この場面(まだあまり親しくない関係)と、雑誌の取材でインタビュアーが Joey に「読者は何を知っておくべき?」と尋ねる場面の2回だけです。

弱い助言(控えめな依頼)

最後に弱い助言の使用例です。

you may want to steer clear of ~

結婚式から逃げた Rachel (画面外)が指輪を返しに行くにあたり、つい最近離婚したばかりの Ross に助言を求める場面です。

FRIENDS “the One with the Sonogram at the End” (C) Warner Bros. Entertainment. All Rights Reserved.

Rachel: So, got any advice? You know, as someone who’s recently been dumped?

Ross: Well, you may want to steer clear of the word ”dumped”.

FRIENDS “the One with the Sonogram at the End” (C) Warner Bros. Entertainment. All Rights Reserved.

冒頭の分類の表では “might want to” が入っていたのに対し、may になっていますが意味的にはほとんど同じという理解でいいです(might の方がより遠回しで控えめな表現)。

dump は(男女関係を)振る。”steer clear of ~” は「~を避ける」です。

離婚したばかりだからそんな直球はやめてほしいという気持ちをやんわり伝えて、やめてもらおうとしている言い方です。

やめてほしいけど、dump されたのは事実だし、助言も求められているし、Rachel のことは好きだし、会話は続けたいし~みたいな感じです。遠回しな感じ、何となくわかりますかね。

おわりに

この記事では、英語での助言の種類についての説明とシットコム フレンズでの使用例を紹介しました。

強さという感覚は日本語でのそれと同じですので、なんとなく理解していたものが整理されるのではないでしょうか。

個人的には、早く部屋から出て行ってほしいはずの Monica が I think you should と控えめな表現を使っていたことに初めて気が付きましたし、まだまだ理解が浅かったな、もっと勉強しなきゃなとも思わされました。

本記事を読んだ方の英語学習がますます捗れば幸いです。

おわり

助言の種類

とても強い助言(指示)… must

強い助言(警告)… had better

助言 … should / ought to

弱い助言 … might want to

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